SeminaireOuvert63

「セミネール通信」は、
藤田博史(精神分析医)による
新しい精神分析の地平を切り拓く
「公開セミネール」の予告と記録
及び、同時代の文化や芸術の動向を
榊山裕子(評論家)の責任編集で発信しています。

目次
1. 2019年8月公開セミネールのご案内
2. 2019年「セミネール断章」6月、7月より 講義:藤田博史
3. 編集後記にかえて
  あいちトリエンナーレ「表現の不自由展その後」を見て  榊山裕子

2019年8月号


公開セミネールのご案内

公開セミネール 2019

〈超自我〉新論

Essai pour une nouvelle théorie du “Surmoi"

数回のセッションで境界例・神経症・メランコリー他を治癒へ導く技法



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日時 : 2019年 8月10日(土)13:30〜16:30(開場時間も13:30になります)
●会場 :日仏会館(東京・渋谷区恵比寿3-9-25) 509号室
●講師:藤田博史(精神分析医)
第8講:神経症を治癒に導く特殊技法 - 誘惑する超自我
●聴講料:2,000円
●ご予約・お問い合せはユーロクリニーク文化部まで(E-mail:ys@euroclinique.com)


☆セミネールの受講者には『受講証』を発行します。
詳しくはこちらをご覧ください。

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マップをクリックすると拡大表示することができます。


日仏会館の場所は、恵比寿駅東口から、「動く歩道」経由で
恵比寿ガーデンプレイス方面、徒歩10分


連載記事
セミネール断章

公開セミネール 2019〈超自我〉新論
Essai pour une nouvelle théorie du “Surmoi"
数回のセッションで境界例・神経症・メランコリー他を治癒へ導く技法

講義:藤田博史(精神分析医)

2019年6月講義より
第6講:精神疾患と『三世代の法則』 - 精神疾患は三代で完成する

記事を読むには下の写真をクリックしてください。
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セミネール断章2019年6月講義より



2019年7月講義より
第7講:境界例を治癒に導く特殊技法 - ためらう超自我

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セミネール断章2019年7月講義より






編集後記にかえて(あいちトリエンナーレ「表現の不自由その後」を見て

 今、巷では国際芸術祭「あいちトリエンナーレ2019」の一企画「表現の不自由展その後」で話題もちきりである。8月1日にはじまったトリエンナーレのなかのこの展示が問題であるとして報道や抗議が過熱化しはじめたのが2日、中止が発表されたのが3日、実際に展示が見られなくなったのが4日。わたしはたまたまこの3日間の展示と、中止後の入口が塞がれた会場の有様を見る機会をもつことになった。

 もともとはこの「表現の不自由展・その後」という企画に特別に興味があったわけではない。気鋭のジャーナリスト・津田大介が芸術監督をつとめるという意外性、アーティストの数を男女同数にするという話題性への興味があったのと、この時期に見ることにしたのはベルギーから来日した友人と会えるのがこの数日だったので、数年前には瀬戸内国際芸術祭を見たが、今年はあいちトリエンナーレをいっしょに見ようということになったからである。

 あいちトリエンナーレの会場は名古屋市と豊田市にある。名古屋市の会場は愛知芸術文化センター、名古屋市美術館、そして四間道・円頓寺の三箇所。豊田市は豊田市美術館と豊田市駅周辺である。このなかで一番大きな会場が愛知芸術文化センターで、主な展示は8階と10階にあり、「表現の不自由展・その後」の展示室は、8階の奥にあった。

 現代美術の展示は、作家1人もしくは1組が1室あるいは数室を使った展示が多い。そして映像作品が多く、1つの映像作品を見るのに数十分程度かかるもの、あるいはそれ以上のものもある。参加型の展示もあるし、視覚、聴覚に訴えるだけではなく嗅覚や触覚に訴えかけようとする作品もある。ここで、その展示のひとつひとつについて説明する余裕はないが、何が言いたいかといえば、要するにまともに見ようとしたら、ひとつの会場を1日で回ることもなかなか難しいということであり、今回のような問題にならなければ、この展示も数多ある興味深い展示のひとつではあっても、それ以上ではなかったということである。

 あいちトリエンナーレは国内外の66組のアーティスト・団体による国際現代美術展の他に、音楽プログラム、パフォーミングアーツ、映像プログラム、さらに観客参加型のラーニングなど多岐にわたる表現がおこなわれ、参加アーティストの総数は90組以上に及ぶという。また、さまざまな会場では作家をまじえたトークイベントが行われる。四間道・円頓寺の会場は、古い町並みや商店街のなかに点在しており、日中は38度にもなる暑さのなかを地図を片手に移動するのはなかなかにハードである。そんな体力まかせの会場回りをしながら、この「表現の不自由展・その後」を1日に1回ずつ再訪したのは、もちろんこれがニュースでも大きく取り上げられるような事態になっていたから、日本の芸術表現にとって歴史的な数日になると直感したからに他ならない。

 しかし実は8月2日の時点ではここまでの騒ぎになるとは思わず、さまざまな海外アーティストのトークを聞いたり、パフォーミングアーツを見るのに時間をとられ、この会場に飛び込んだのは閉館ギリギリであった。他の部屋よりも多くの人が詰め掛けていたし、そこにいる人々の雰囲気が他の会場とはいくぶん異なっていること、年齢層がいくぶん高く、男性が多いことは感じたが、これはこの展示のテーマと関わっているのだろうと何となく思ったに過ぎなかったし、久しぶりに日本を訪れた友人はこの時点では、この展示がなぜ重要かいまひとつピンとこなかったようである。この日は時間もなくあわただしく会場を後にしたが、翌日、朝一番におもむき、ゆっくり展示を見ることができたのは幸いであった。4日の朝にもう一度訪れた時には会場入口はすでに巨大な壁のようなもので封鎖されていたからである。問題の作品が撤去されることは予想していたが、部屋全体が封鎖されるというのは予想外であったが、そういう決断が下されたのである。(なおこの3日間の会場の具体的な様子についてはいずれあらためて別稿で記す予定である)

 とはいえ、その会場の状態を確認すると、感慨に耽る間もなく、すぐに他の会場に向かった。時間は限られており、その割に見ておきたい作品はあまりにも多く、知人との約束なども重なっていたからである。

 津田大介といういわゆる美術のインサイダーではないジャーナリストが芸術監督になったことに懸念を寄せる人もいたようだが、展示の質は全体に高かった。現代アートには「アートの政治」という文脈がある。これをアートの内部におけるさまざまな政治とするならば、アートの外部にある現実の政治とアートの関わりを「アートと政治」と呼ぶことができよう。津田大介という芸術監督を選択することは、「アートと政治」に重きが置かれることになるだろうことは十分予想できたし、また期待されていたその役割に彼はよく応えていたように思う。

 「表現の不自由展・その後」の展示作品は、日本の現代美術をある程度見て来た人ならば、現物を見ているにせよいないにせよ、既視感のある作品が多いだろう。ただこのようにある種の作品が排除されるという日本の表現の自由と不自由をめぐる「歴史」と「現在」が、うやむやのうちに不可視化されるのではなく、広く可視化され、その事実を多くの人に知らしめたという意味では、この展示は大きな意味を持っているといえるのだろう。また今回の展示中止に対して、多くの個人や団体がアクションを起こしたこと、起こしつつあることも含めてこれは日本の「言論と表現」の歴史に残っていくのだろう。そしてこれがどの方向に向かうかは現在を生きるわれわれ次第なのだろう。

2019年8月9日「セミネール通信」編集 榊山裕子









連載記事アーカイブ
〜下記の連載は、今回は記事の更新はありません〜

連載記事 テクスト効果
榊山裕子

ジェンダー編

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第1回「1968とエロティシズム」










連載記事 バックナンバー

「セミネール断章」バックナンバー

公開セミネール 2016「精神分析原理
Principia Psychoanalytica
ーフロイト・ラカンが仕掛けた陥穽ー

2016年12月
2016年11月
2016年10月
2016年9月
2016年8月
2016年5月
2016年4月
2016年1月

公開セミネール2015「オールフラット理論」
ホログラフィック精神分析入門

2015年2月
2015年1月

公開セミネール2014「海馬症候群」
量子力学と精神分析の甘美な関係

2014年11月
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2014年1月

公開セミネール2013「精神分析の未来形」
厳密なサイエンスとしての可能性を探る

2013年12月
2013年11月
2013年10月
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2013年8月
2013年7月
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2013年5月
2013年4月
2013年3月
2013年2月
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公開セミネール2012「治療技法論」
ラカン理論に基づく治療技法の実際


2012年12月
2012年11月
2012年10月
2012年9月
2012年8月
2012年7月

以下はpdfファイル
2012年6月pdf
2012年5月pdf
2012年4月pdf
2012年3月pdf
2012年2月pdf
2012年1月pdf

公開セミネール2011「心的構造論」

2011年12月pdf
2011年11月pdf



「テクスト効果」バックナンバー

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テクスト効果
日本文化編バックナンバー

第 1回「供儀を作らない文化は可能か?」
第 2回「全員一致が全員ではないということについて」
第 3回「擬制としての二者関係について(1)」
第 4回「擬制としての二者関係について(2)」
第 5回「日本と女性と紅一点について(1)」
第 6回「日本と女性と紅一点について(2)」
第 7回「『日本的異端』の在処について(1)」
第 8回「『日本的異端』の在処について(2)」
第 9回「日本と父(1)」
第10回「日本と父(2)」
第11回「日本と父(3)」
第12回「日本と父(4)」



テクスト効果 
芸術編バックナンバー

第13回「神と人形(1)〜礼拝と展示」
第14回「神と人形(2)〜眼差しと不気味なもの」
第15回「人形と身分(1)」
第16回「人形と身分(2)」
第17回「人形と身分(3)」
第18回「人形と女性(1)」
第19回「人形と女性(2)」
第20回「人形と女性(3)」
第21回「人形と女性(4)」
第22回「人形と女性(5)」
第23回「人形と独身者」
第24回「1960-70年代の日本の女性アーティストの状況」
第25回「球体関節人形と女性(1)」
第26回「球体関節人形と女性(2)」

テクスト効果
アーカイブ編 バックナンバー

第27回「彫刻と人形『再考』(前)」(『人・形ノート』掲載)
第28回「アート界の人形たち」(『美術手帖』掲載)
第29回 BOOK REVIEW「ma poupée japonaise」(『DOLL FORUM JAPAN』掲載)



連載記事

⭐️図解 基礎からの精神分析理論⭐️

基礎編
〜フロイト/ラカン理論を藤田理論から読み解く〜


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連載エッセイ



⭐️続々 ARTROOM
インターネットで見る表現と時代⭐️

記事を読むには下のタイトルか写真をクリックしてください。

RADWIMPSと君の名は。(

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⭐️バックナンバー 続 ART ROOM
iPhoneから見るアートな光景⭐️

「第3回 デモから見るアートな光景」

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第2回 ROSE IS A ROSE IS A ROSE

「第1回 神奈川県立近代美術館の閉館と日本近代美術の終焉」

「序 iPhoneとアート」


⭐️アーカイブ   ART ROOM⭐️

ARTROOM 2

ARTROOM 1




これまでの公開セミネール

 医療法人ユーロクリニーク主催による藤田博史(精神分析医)の精神分析の公開セミネールは2003年より毎月第2土曜日、東京の日仏会館(恵比寿)で開催されています。


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公開セミネールの前身

 精神分析の公開セミネールの前身は、藤田博史を講師に迎えたドール・フォーラム・ジャパン主催による「人形の身体論ーその精神分析的考察」という公開セミネールでした。このセミネールは主に東京の早稲田奉仕園(早稲田)、東京芸術劇場(池袋)で開催されました。
 その内容は日本で唯一の創作人形誌「ドール・フォーラム・ジャパン」に「人◇形◇愛の精神分析」(編集・榊山裕子)として連載され、その後、青土社から『人形愛の精神分析』として出版されています。

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 当時の様子は「セミネール通信」の連載「タイムマシンにおねがい」で見ることができます。

「タイムマシンにおねがい」第3回「セミネールと9.11」Web版

「タイムマシンにおねがい」第2回「夢と映画」pdf版

「タイムマシンにおねがい」第1回「2001年にはじまる」pdf版





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「セミネール通信」Webマガジン版バックナンバー

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「セミネール通信」バックナンバー(2005~2007年)




「セミネール通信」バックナンバーのうち2012年以前のフリーペーパー版の一部をpdfで公開しています。